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2009年1月

線…

見知らぬあなた…

…どうしたの?

図書館から
借りてきた本
ドジソンの最後の言葉

“人生、それは夢にすぎぬのか?”

その横に引かれた
柔らかく
薄い鉛筆の線

…どうしたの?

どうして
線を引いたの…?

見知らぬあなた…

あなたは
夢ではないのに…

ここに
こうして
私の中に
夢以上のものとして
存在して
語りかけてくれているのに…

見知らぬあなた…

この線は
消さずに
残しておきます

優しい指で
微かに震えながら
引かれた想い…

…見知らぬあなた

あなたが
ここに
存在し続けるように
ここに
このまま
残しておきましょう…

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本…

何度も
何度も
読み返し
表紙は擦り切れ
口絵は色褪せ
それでも
同じ感動と
想いを告げる
命ある存在
それが


見覚えのある文章
覚えている台詞
蘇る感動と記憶
記憶…?
それは何度目に読んだ頃のもの?
それは何歳の頃のもの?
何処に住んでいた時のもの?
全ての「私」が
この中に
この本の中に
刻み込まれ
描かれ
語りかけてくる…

ここにあるのは

私自身
私は
私自身を広げ
読み
そして
新たな私自身を
ページの間に
行の隙間に
埋め込んでいく…

……次に
私自身を見出すのは
いつのことだろう…?


……風由


…その時もまだ
私は
私自身のままだろうか…?

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扉…

言葉が…
詩が…
歌が…
世界が…
音が…
声が…
言葉が…

…生まれない
…流れない
…聞こえない
…生まれない

全てが
指先で
口先で
雪のように
溶けてしまう…

…風由

取り巻くのは
灰色の世界
ぼんやりと広がる
曖昧で
茫洋とした
虚無の世界

そこに触れた途端
全てが
霧散する…

…風由

紡ぎ出すことが
難しいなんて…
思いもしなかった

だから
今は
ただ

……こうして
時を待っている…

扉の前で
待っている……

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凍る…

凍る
凍る…

草葉の先が
柔い花弁が

凍る
凍る…

ジャック・フロストが
全てを縛る

凍る
凍る…

明け方の月が
白い光が

凍る
凍る…

カリアッハ・ヴェーラが
全てを打つ

凍る
凍る…

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雲…

窓辺の席…

暖かな日差し…


白雲が

ゆったりと
ゆったりと

青空を背に流れていく…


葉を落とした木々…

風に遊ぶ鳥が2羽…


白雲が

重なり
離れ

青空の中を泳いでいく…


……柔らかな眠りが訪れる…

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記憶…

記憶…

記録…


何故、残す?

何故、綴る?


誰が読む?

誰が望む?


誰の為の

何の為の


…違う


読まれるからではない

望まれるからではない


読まれるかも知れないから

望まれるかも知れないから


その可能性で人は残し

その可能性で人は綴る



…世界は

その願望の繰り返しで成り立ち

その事実の繰り返しで永遠に変わらずにある

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翼…

空を
飛ぶ…

大きな翼を広げ
蒼の中を舞う

渡る

滑る

昇る

見下ろす


……風由…


それは
本当に

…自由なのでしょうか……


空は
本当に
…本当に

広いところ
虚ろなところ…

そこに
羽ばたくのは…


…きっと
自由ではなくて…


……孤独…

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