季節…

少しずつ
少しずつ…

…なのに
ごめんね、羽留…




想い

気持ち


まるで気にも留めずに
季節は流れていくの…

でも
それがきっと
季節の優しさ

時間は流れ去るものではなくて
きっと
ぐるりと巡り回るもの

だから
きっと
また逢おうね



そして
久し振りだね

……那津

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ミヤマツツジ…

やまのはに
たんりょくちらし
さざめくひざし
はなのくもりに
しらくもに

もりかげに
むらさきかろし
とけいるつつじ
あおばのやみに
このしたに

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悪夢…

暗闇を背に
浮かぶ
白い顔

ぬるり
溶け出し
黒に広がる





重なり
揺らぎ
圧し
押し寄せ
身を捩る

流される
流される

二は二のまま

引き裂かれ
運ばれる

決して
一にならぬまま…

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時計…

一つ

一つ

…また、一つ


時計の針が

刻む音



…私が

失われてゆく……

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記憶…

羽留…

…新しい記憶


時が
人が
季節が

新しい記憶を残してゆく……


羽留…

…消える記憶


想いが
願いが

…祈りが


……消えてゆく…


生まれるもの

消えるもの



……羽留…


そう……

…少しでも

少しだけでも



……残していけたらいいね………

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日溜り…

床の上

まどろむ仔犬

日の光…


羽留の温もり

膝上で

陽射しの匂いに

夢うつつ…



胡蝶の夢よ

羽留の夢

夢から覚めても

夢の中

溶け込む光に

羽留を見る……

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風由…

…落ちてゆく

静かに
静かに…

深く
深く…


…眠りの向こうへ

冷たく
冷たく…

重く
重く…



……風由



君の中を通る道は

まるで…
…そう

……のようだね



それでも



……風由



その奥を
その向こう側を

……君の後ろ側を


経巡る季の
その先に

再びおとない
過ごしたい




…風由

……君の後ろ側へ…

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曇り空…

風由…


薄暗いね

静かだね


雨はやんでいるのに

風もおさまったのに


明かりが沈んでいくよ

無音が耳に聞こえるよ


あんなに遠いはずなのに

あんなに広いはずなのに


灰色に光が飲まれていくよ

灰色に雲が溶けていくよ


風由…


薄暗いね

静かだね

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小鳥…

かわいい
かわいい
小鳥さん

3日間だけ
ひとりぼっちね


かわいい
かわいい
小鳥さん

帰ってきたわ
出ておいで


かわいい
かわいい
小鳥さん

そんなに指を
つつかないで



かわいいかわいい小鳥さん
指の先から飛び立って
扉の向こうへ逃げていく

まってまってよ小鳥さん
ふれたつばさが溶けていく
小鳥さんが歌になる

つづけてつづけて歌声さん
耳を澄まして走り寄る
先には白い仔猫さん

やめてやめてよ仔猫さん
小さなお爪が危ないわ
払いのけたらチョウチョウさん

あぶないあぶないチョウチョウさん
か弱いはねが破れるわ
窓にぶつかり砕け散る

どうしてどうして泣きじゃくる
私の前で女の子
窓を開いて大空へ



かわいい
かわいい
小鳥さん

たったの3日
だけなのに


私は嬉しかったのに…

私は幸せだったのに……

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糸…

夜空に浮かぶ
猫の笑み
欠けた光の
月明かり
窓から射し込む
銀の幕
照らす指先
紡ぎ車
濡れる滴は
暖かく
集まる糸の
温もりよ

規則正しく
打ち響く
時の刻みで
織り上げる
面に流れる
銀光は
ほの見える場を
洗い消す
折り畳まれる
本ひとつ
布の流れは
時の川
過去も未来も
ただひとつ

裂いていくのは
丸い指
やがて細く
しなやかに
少女の想いは
布の先
織られた絵柄は
霧の中
不安と期待に
指震え
ほどく糸も
乱雑に
暗がりの傍で
立ち尽くす
糸の端を
渡すため
迷わぬように
戻れるように
扉の影で
待ち明かす

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«線…